写旅ログ #17 再会 白馬 5/14 5/15

未だに時折深い霧が支配する気持ちのまま 写旅再開を決めた
まだ2ヶ月 もう2ヶ月

受け入れて進むしかない
被災地でお会いし話しをした時思ったこと
私も少しずつ前に進もう


今回は残雪残る田園風景が撮りたくて青鬼、白馬付近を回ろうと思った


夜明け
畦を若草と黄色の花が飾り、水を張った棚田が夜明けを待っている
漸く冷たい雪から解放され短く貴重な夏を迎える
足元の草に気をつけて撮影しよう


小谷村の白池はまた冬季閉鎖のため行けなかった



雨飾に行く途中、しだれ桜のピンク色に誘われ車を止めた
行くと老夫婦の方が田植えをしていた
許可を頂いて畦に入れてもらい写真を撮った
大きな雲がゆっくりと流れ、雲の合間に射す日差しが心地良い
日常の幸せを満喫する
風に乗って燕も水田の上で餌を探しに飛び回っている

途中機械の調子が悪くなり、応援の孫らしき息子さんとその嫁ぐ娘さんも来て長閑な楽しい田植え風景となった
息子さんが田植えをしている間、初老の家長と話をした
大震災の話題になり とても心を痛めていることを知った
長居をしてしまい、別れ際にまたいつでも来なさいと声を掛けられた



雨飾までの道すがら谷向こうの斜面のブナの根明けが見事だった
雨飾山キャンプ場駐車場で軽く食事を摂る
クッカーでお湯が沸くまでの時間にぼーっと眼下に広がる残雪の谷合いを見ていると幸せな気持ちになる


谷合いを流れる川の色は白濁し、水量が多く轟音が谷合いに響き渡っている
尾根下の残雪からはいたるところで小さい滝が出現している
この滝たちはこの時期しか見ることが出来ないのかもしれない きっと名前もないのかも


夜、月が輝く頃を待ち森深く水芭蕉を撮りにいった
夜になっても千切れ雲が行き来していた
千切れ雲は大きく厚い雲の塊もあれば 薄いベールのような小さい雲もあった
厚い塊に月が隠れると瞬く間に漆黒の闇となり、全てが無と化す。
月が顔を出すとすーっと暗闇の中に安堵感にも似た暖かさが広がり息吹を感じる


雪融け水の流れの中に月の光が溶け込み、まるで光の小さな生き物が何かを捜し求め空回りしているようだ
カメラと言う相棒が納めた世界 肉眼では見ることが出来ない不思議な世界だね。
でも心のCCDにはその時の臨場感が不思議な生き物といっしょに残るんだ


四季のコントラストに欠ける都会でも初夏が分かるような時分に、雪深い冬大国の遅い春の訪れに逢えてとてもラッキーだった
次回はどんな季節に逢えるか楽しみだ