写旅ログ #52 温もりと月光の燕岳 4/27-29


4/26夜中房温泉までの登りで霙から雪になり、最後はスタッドレスで良かったと思える雪道となった。
2時近くに中房温泉手前の無料駐車場に到着、車中泊。まだ空きはあったが朝にはほぼ満車となった。夏場は金曜の夜早くに満車になるらしい。
4/27朝7時、雪の降る中 出発。
今回は、相当きついはずなので燕山荘に2日連泊を組んだ。レンズを3本と替え靴下、食料、カロリー補給食2日分といつもより重装備なので三脚は小ぶりなベルボン535で我慢してもらった。

第3ベンチまでは体力をセーブしてベンチ毎に休みながら順調に進んだ。途中凍ったところに新雪が積もって滑りやすい場所もあり、第2ベンチからはアイゼンを装着。登山者は少なくも無く多くもなく。快適。下山する人とすれ違うことも。最近よく思うのだが登り優先のマナーを知らない人がとても多いと思う。今回は下山する人のマナーの良さに天候とは逆に気持ちが良い。
第3の後の富士見ベンチが分からず 休むペースを失った。
森林限界が見えてきて、勾配も段々と容赦しなくなり、富士見はどこ!! 急登はいつ出てくるの?? 木立ちがまばらになると地吹雪も厳しくいつ休みを入れようと不安になってきた矢先、シラビソの合間に突然 合戦小屋が見えた。

アイゼンを取らなくていいとは有り難い

で、最初の温もり こんなに旨いカップ麺は久しぶりだ。
たまんないね。会社の昼に食うカップ麺とは全く違う食べ物になるから面白い。
丁重に小屋のスタッフに御礼を述べ、合戦尾根に出撃。
この前後からクラブツーリズムのガイドを付けた5人パーティ(団塊世代のシニア殿)とほぼペースが一緒になり抜いたり抜かれたりして登っていた。
尾根伝いは吹雪で視界がかなり悪く、トレースも消えかかった状態。これだけ先に登っている人がいてもだ。

こんな感じ
今思うとこのパーティが一緒でなければ危険過ぎて下山してたかも。最後の詰め(視界がなく後で分かった)でガイドさんがすっと私を抜いて先行してくれた。つぼ足状態でトレースがすぐ消えてしまう急登だった。2回目の温もり。山荘の裏に着いた裏銀座側からの猛吹雪に遭い、息が出来ないくらい。漸く山荘の中に逃げ込んで、ガイドさんに御礼を伝えた。わざと抜いたんだ、自分のお客ではないのにとても有り難かった。

4/27の予定はへろへろの体力回復のため沈殿。イノクマさんの予報も夜から晴れだったから。
4/28深夜1時、朝までの予定で山荘を出発した。快晴とは行かず冬型特有の低く厚い雲が流れていた。中々いい条件^^ ただしめちゃ寒い。久しぶりにカメラが凍った。
今年の厳冬期は仕事に忙殺され行けなかった。この時期に厳冬期並みの撮影になるとは・・
お蔭様で深い彫のシュカブラにも逢えたし、少しだけ天使の梯子も見せてくれた。多謝多謝。
低いガスも時折通過し、幻想的で幽玄な感じな夜を満喫。


レンズ前のフィルター氷着が思わぬ役者にへんしーん。

山荘から見た燕岳の道程は積雪は深くなく表面も堅そうなのでゲーターを付けずに行ったのが間違え。オーバーパンツの雪よけのスカートはなぜ付いているのだろう。全く役に立たず靴の中に雪が入り込んでしまった。4時くらいには足指が痛くて、風も冷たく燕岳はあきらめ退却。それでも朝の薄明に浮かんでくる表銀座裏銀座が素敵で足の痛さがすっ飛んでしまった。写真はダメダメでしたが。だめだめついでにアマツバメにも逢えたが撮影出来ず。速いしね。でもめちゃかっこいい。

4/28の7時くらいに山荘に戻り、仮眠。昼間は夜に備えほぼ沈殿。たまに外へ偵察。天気は上々。登山客のすごい数。これは今晩の行程が楽そう。
昨日から今朝までとは打って変わってポカポカだったらしい。
夕食のとき燕山荘グループの社長さんのスピーチとホルンの演奏?ソロ?があった。スピーチは山男らしい濃い話で嬉しくなった。

4/28夜の狙いは月が出てくる前の星景と9時過ぎの月出がメイン。

日没薄明が終わった頃、オリオンがまだ空に待っててくれていた。ありがとう!!!
今年最後の冬の第三角形だ。サイコーです。ミーハーだけど槍とコラボなんだなー

久しぶりに15分バルブも楽しんで2つ目のお題の月出。古の人は月白(つきしろ)と言っていたが、白くなく赤いです。日の出といっしょです




次第に表銀座の山並みが月明かりに浮かび上がり、昨晩とは全く違う正統山岳表情。

またしても定番のいるかちゃんと槍コラボ。ただし月明かりと影でかなり形が鮮明でしょ
月が大分高くなり星が消えていったので終了。23時に山荘。

4/29朝は撮影気力0。5時朝食を頂き、山荘に御礼を言い、帰路に着く。
幾筋も持った青黒い層雲が流れてフォトジェニックだがD800と三脚を出していては遅くなるのでコンデジで撮影しながら下った。後でpcモニターで見ると逃がした魚がやたら大ききく見えてくる。

合戦小屋過ぎから膝の具合が悪くなり、その痛みから半月板が割れたかネズミが彷徨っているように何かのタイミングで激痛が走った。膝の横を摩ると鈍痛があるので経験値から軟骨が悲鳴を上げているのが分かった。まだ半分も下っていないと言うのに・・・ あの急坂が待っていると言うのに・・
困っていると今回最高の温もりに触れた。痛がって道を譲っている姿を後ろ見していた若い女流登山家の方が引き返して来て、両手に持っていた自分のストックを1本貸してくれた。

後で有明温泉の玄関に置いてと言い残して。私も持ってはいるが邪魔と置き忘れそうなので、小田代スノーシーイング以来使っていない。
膝を庇うのにとても重宝した。これが無いと下山できたかどうか。今も水が溜まった様子もなく、様子見程度を維持でき最悪な状況にならなかった。ストックを貸して貰う前はパンドラが開いたかと腹を括った。膝はもう3回手術しているからね。痛めた左膝には半月板は残り1/3しかない。2/3は摘出されているのですでに軟骨同士がくっついている状態なんだ。半月板は神経がなく血液も流れてないので割れても痛みはない。割れたエッジや2枚に重なったり半月板の一部が遊離(=ネズミ)してタイミング悪く膝の可動部分で挟まったりすると軟骨を痛め、激痛が走り強いては水が溜まり腫れる。

ストックを貸して頂いたご好意により時間は掛かったが無事中房に到着。
その後有明温泉に着いたが11時を回っていてストックの主とお会い出来ず、直接御礼が出来なかった。今はどうして居られるのだろうか・・どうかこのブログを見つけて連絡を取りたいと思う。

安曇野インターに戻る途中、見つけた春。痺れた指先の感覚に厳しい冬山の余韻が漂う。